意外に知られていない?マルアジの存在
こんにちは、Mayoです。
よく、尺アジ釣りました!というSNSなどの投稿を目にすることがあります。しかし、よく見るとマルアジということが少なくありません。いや、確かにアジの仲間だから尺アジには違いないんだけど…。間違いでもないし…。でもなんか釈然としない。そんな感覚、ある人いませんかね?まあ、それを投稿している人の勝手なので余計なお世話なんですけど。知ってて書いている人も多いでしょうし。
でもよかったら知らない人には知って欲しい。種類が違えば狙い方が変わることもありますし、旬も違えば美味しい食べ方も変わってきます。
ということで両種の違いです。何というか、似てはいるけれどマアジ→「スズキ目アジ科マアジ属」とマルアジ→「スズキ目アジ科ムロアジ属」に属します。分類学的にはそもそも属が違うんですよ。分かりにくいでしょうから他の属例として「アジ科イトヒキアジ属」とか「アジ科ギンガメアジ属」なんかがあるぐらい違う。
ちなみに、メバル(3種まとめて)とクロソイは共に同じメバル属なのにかなり違う印象ですよね。
まあ何というか当ブログの釣魚図鑑にそれぞれマアジとマルアジは載せているんですけど、流用して見分け方も書いていこうかと思います。似た外見で見分けにくい魚たちって意外に多いので、時々書いてみるかな。
見分け方①全体的な形状
マルアジはその名の通り、断面(顔を正面から見た形もそうです)が円形に近いように丸く、ほっそりスマートで、青みが強いです。それに対してマアジは体幅に比べて体高が大きくて平たく、黄色味が強いことが多いと言えます。(回遊型のマアジは背側の青味や黒味が強いこともあります。)正面から見ると縦長の楕円形のようです。ただ、正直見慣れていないと見落としますし、個体差も大きいので決定的な差とは言いにくいかもしれません。
見分け方②尾の前にある小離鰭(脂鰭のようなやつ)
こちらは決定的な違いで、尾柄部(尾鰭前の一番くびれた場所)に単独で小離鰭という脂鰭のようなヒレがあることです。たまたま、マルアジを釣っていたときに同サイズのマアジが混ざったので比較画像を撮ってみました。画像の上がマアジ、下がマルアジです。共に30cm台前半といったサイズ。
マアジは背鰭の最後端から尾鰭までの間に突起物は何もありません。
マルアジはその間の上下に小さな鰭がついています。

もうここがほぼ全てというほど分かりやすく、通常これらの差だけを記したブログや本が多いです。しかし、この小離鰭の存在は他のムロアジ属にも言えることなので、もしかしたらマルアジと思っているとムロアジだった…なんてこともあるかもしれません。そのため本当はここで他のムロアジ類との違いも書けるといいんですが、恥ずかしながら釣ったことがないので偉そうなこと書けないんですよね。
なので今度、かつお節屋さんからムロアジを1匹もらって写真でも撮ってみますね。いつになるか分からない後日に期待してください。
見分け方③胸鰭と稜鱗(ぜいご)の長さ
一般的にマアジには「ぜいご(正式には稜鱗)」と呼ばれる硬い鱗の列が後ろから見て尾鰭から鰓蓋の辺りまで側線上に並んでいます。料理するときにちょっと鬱陶しいやつですね。このぜいご(稜鱗)、中央やや後方でカーブして背側に近づきますが、このカーブより前方にも柔らかくはなるもののしっかりと存在しています。そして、胸鰭の先端がこのカーブの尾鰭側寸前まで届く長さです。
これに対してマルアジはぜいご(稜鱗)が体の前方から6~7分目の辺りからスタートし、直線状に尾鰭まで続きます。体の前半にはないんですよね。そして胸鰭はぜいご(稜鱗)の前方辺りまで届くほどの長さではありません。両種を見比べると、胸鰭の長さはマアジの方がかなり長い印象ですよね。

生態的にもマルアジの方が回遊性が高く、魚食性の強い印象があります。どちらかと言うと青物に近い印象ですね。そのため、胸鰭は短い方がスピードが出やすく、直進性が高いと言えるのではないでしょうか。回遊性の高い魚で比率が上がる血合いもマルアジの方が大きいです。
マアジも回遊性はありますが、沖の沈み根につくこともありますし、マルアジと比べると魚食性が少し弱いイメージでしょうか。
見分け方④鰓蓋を開いたとき肩帯(胸鰭を支持する骨)にある突起
これは比べながら捌いたので気づいたことですが、マルアジには鰓蓋を開くと、肩帯(胸鰭を支持する骨)に突起が見えます。マアジには全く突起がありません。何でこんな所に突起を作る必要があるんだ!?
勝手な想像ですが、マルアジの方が回遊性が高く、直進的遊泳力が強いので、剛性を上げるためなのでは…?うん、よく分かりませんが分かりやすい違いとは言えますよね。ただ、釣り上げた瞬間には分かりにくい場所です。どっちか迷うときには見てみたらいいかもしれません。

【参考】メアジの特徴
ただただ参考なんですけど、「スズキ目アジ科メアジ属」にメアジという魚がいます。たまたま大分のスーパーで見かけて購入したんですけど、目がでっかい!沖縄ではガチュンなどと呼ばれ、一般的な魚のようですが、九州のスーパーで見たのは初めてでした。

まあ、これだけ目が大きければ分かりやすいんですけど、これの鰓蓋を開いたときにマルアジと同じような突起が!ちょっとマルアジよりも下側ですが、尖り具合はこちらが上です。いや~、面白いもんですね。

ちなみに味はリン酸味が強く、マアジよりはマルアジやムロアジに近い印象でした。
まとめ
マアジとマルアジの違い、判断しやすい特徴順に以下のように並べてみました。
【尾鰭前の小離鰭(脂鰭みたいなもの)】 マアジ:なし / マルアジ:あり
【肩帯(胸鰭を支持する骨)の突起】 マアジ:なし / マルアジ:あり
【ぜいご(稜鱗)の長さ】 マアジ>マルアジ
(マアジは頭部付近まで、マルアジは側線の尾側直走部のみ)
【胸鰭の長さ】 マアジ>マルアジ
(マアジは側線の尾側直走部辺りまで、マルアジは側線の尾側直走部には届かない)
【体高】 マアジ>マルアジ
【体幅】 マアジ<マルアジ
【体型(断面)】 マアジ:縦長の楕円形 / マルアジ:円形に近い
【血合いの大きさ】 マアジ<マルアジ
【魚食性の強さ】 マアジ<マルアジ
こんな感じでしょうか。
5月頃、他のエリアでは分かりませんが九州北部ではマルアジが産卵期。皮下脂肪が恐ろしく多いので、手が滑って皮が剥けないほど。厚みが1mmぐらいあるんじゃない?
ワタクシ、普段はマアジの方が旨いと思っているのですが、本当にこの時期だけはマルアジが圧倒的です。
ちなみに、狙っているマルアジ君たちは平均35cmぐらい、大きいもので40cmぐらいの奴が混じるのでメインルアーは10g~20gぐらいのメタルジグです。口が柔らかいのですごくバレやすい。トリプルフックに加え、フロントのアシストフックは必須です。最近はBlueBlueのフォルテン20gがフックの追加もせずに済むし飛距離もかなり出しやすいのでお気に入りですね。
さあ、皆様に届け、俺のマルアジ愛!!